オミクロン株の出現は、間の悪いことに連邦準備制度理事会(FRB)が難しいかじ取りを迫られているタイミングと重なった。FRBは新型コロナ禍対応の景気刺激策からインフレ抑制へと政策の軸足を移そうとしている。 アメリカの中央銀行であるFRBは、完全に回復しきっていない雇用を下支えしようと、2020年3月に事実上のゼロ金利政策と国債などを大量に買い入れる量的緩和策を復活させて以降、緩和策を維持してきた。ところが、ここに来てインフレが加速。物価上昇ペースに対する警戒感が高まる中、景気刺激と物価コントロールの両立を迫られるようになっている。 オミクロン株で「引き締め加速」の可能性 新たにインフレ対応が必要になったことから、オミクロン株がアメリカの経済と雇用に打撃を与える展開になったとしても、FRBはショックに十分に対応できない可能性が出てきている。それだけではない。この変異株によって31年ぶりという現