「翌日に公式戦の日本シリーズ(JT杯)広島大会があり、私は解説の仕事で広島入りしていました。この日は恒例のこども将棋大会が開かれ、私は審判長として会場に詰めていたのです」 小学生以下の将棋大会としては全国最大規模で知られる「テーブルマークこども大会」。会場を回っていた森九段は、男の子で埋め尽くされた会場で、小さな女の子がひとり将棋盤に向かっているのを目にとめた。 「彼女は歯を食いしばって泣かない。その表情が非常に印象に残りました」 「指し手を見ていたのですが、かなり強い。当時でアマチュア2級くらいはありましたね。地方の女の子でそこまで上達しているのは珍しい。1手指すごとにちらっと相手をにらむんですね。羽生さんにちょっと似ているなと思いました」 この日、ベスト4まで勝ち進んだ少女の名前は「里見香奈」といった。当時10歳、小学5年生だった。 「腕自慢の子がこうした大会の準決勝や決勝で負けると、
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