フェイクニュース、と言えば聞こえは良いが、要するにデマである。本稿では、我が国に特徴的なフェイクニュースのあり様を「日本型フェイクニュース」と名付け、その分類を大きく(Ⅰ)ネット引用・補強型(下流発生)、(Ⅱ)保守系言論人・メディア拡散・定着型(上流発生)の2種類に大別している。 この両者いずれにも、著作や論文等を持つ社会的地位を有する「言論人・文化人」が濃密に関与しているところが日本型フェイクニュースの特徴であり、そして日本型フェイクニュースの多くは、政治的右派の界隈(かいわい)から噴出し、対して政治的左派からのそれは比較的少ない、という点も特色である。 なぜ日本においてのフェイクニュースの発生は、政治的右派から多く、政治的左派から少ないのか。それは、第一に日本における政治的右派(ここで定義するそれは、自民党よりも右寄りの言論空間や、そこに居住する言論人や文化人を指す)が、長らく確固たる