「作者はきっと、正義漢なのだろう」 木村元彦(ゆきひこ)という書き手の作品を読むと、多くの人がそう想像するに違いない。 木村の名著として知られる『誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡』、ベストセラーになった『オシムの言葉』、我那覇(がなは)和樹のドーピング冤罪事件を掘り下げた『争うは本意ならねど』など、いずれの作品も埋もれかけた事象や人物に光を当てている。 するとそこに、仰天すべき事実が鋭い観察力と粘り強い取材力によって暴き出されるのだ。木村は書き進める中、“悪玉”に一太刀を浴びせ、返り血に赤く染まりながら、さらに剣を振る。最新刊『徳は孤ならず』も、その“斬撃”は冴え渡る。 ―木村さんは政治、民族、差別など様々なジャンルを書かれています。その中で、サッカーを描く面白さとはどこにあるのでしょうか? 木村 サッカーによって“可視化される世界”があることですかね。例えば、今年6月にアブ
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