現在の東アジアの国際政治の最大の課題は、すでに活力を失った日本をどう縛るかではなく、活力がありすぎる中国をどう縛るか(「縛る」という表現がよくなければ、「猫の首に鈴をつける」)というものである。この基礎の基礎が、日本の議論ではしばしば忘れられていないだろうか。 かつて「日本を縛る」ことが東アジアの平和になにがしか役立っていた時代があった。といってもその間に東アジアに地域紛争は起きていたが。その時代を生きてきて、「どう日本を縛るか」を考えて発言して、それによって自我を形作り人生を築いてきた人たちが、現在高齢化し、新たな世界状況を見る意欲や能力を失っている。歳をとれば無理もないことである。かつて高齢者が希少だった頃は、むやみに新しいことを知っている必要はなかった。昔の知恵を伝えてくれるだけでよかった。 「自分たちが信じてきたもの、当然と思っていたもの、支えにしてきたものが、大きく変わってしまっ
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