TOP > 1. アリの観察とルーツ探しで40年 「イソップ物語」のアリが集めていたもの 最近は、家庭よりも会社第一、仕事優先に考える40-50代を“アリ世代”、逆に遊びが生きがいで、仕事が残っていても遠慮なく退社し、休暇は目いっぱいとる20代を“キリギリス世代”と呼ぶそうである(中間の、“アリギリス世代”というのもあるらしい)。イソップの寓話も、昔は「キリギリスのように遊んでばかりいると、末はろくなことにならないぞ」という教訓だったが、今は最初からキリギリス的な生き方を肯定しているのだから、なんともいいようがない。 「イソップ物語」の勤勉なアリは、草の実をせっせと集めては巣に運ぶクロナガアリである。このアリは日本には1種しかいないが、地中海沿岸から中近東、アジアの乾燥した温帯・亜熱帯にかけて、40種類ぐらい棲息している。ことに地中海や中近東のはかなり大きな巣をつくるので、そこに蓄えられて