いまどきは世間でもコンプライアンスに五月蝿くて、テレビ放送でヤラせなんかしようものなら強い批判を浴びる。しかし、許される範囲のヤラせというのも現実的には存在する。 例えば、ある会社に訪問するとき、「ここが、XXXを作っているYYY会社ですねー。お邪魔しまーす」みたいな会社の玄関から入ってくるシーンがよくテレビで流れるわけであるが、あれもヤラせと言えばヤラせである。実際は、いったんその会社の担当者と打ち合わせをしたあと、「最後に、玄関から入ってくるところ撮影させてもらっていいっすか?」みたいな話になる。「いいですよ」と言うと、改めて玄関から撮影するわけである。 玄関あけたらいきなりカメラを回しているだとか、そんなことはありえない。私は過去、数十回メディアの取材を受けたが、いきなりカメラを回しているテレビ局や雑誌記者なんて一度もいなかった。 そりゃそうだろう。玄関あけていきなりテレビカメラが回
前回の記事の最後にFail Lowという言葉がでました。コンピュータ将棋はある局面を探索するときに、評価値をある程度予想して、その予想を元に探索をします。予想値の下限をアルファ、予想値の上限をベータといいます。よく聞くアルファベータ探索のアルファとベータはここから来てます。評価値がアルファより下の場合Fail Low、評価値がベータより上の場合はFail Highといいます(第1図)。Fail Lowが起こる時は予想より実際の評価値が大きく下回る場合で、かなり良くない状況です。Fail Lowがおこった場合は、アルファとベータの予想値を再修正して探索し直します。 第1図 難解な局面では予想が難しいので、Fail Low(↓)やFail High(↑)することがよく起こる。評価値に矢印をつけるのはPonanza独自の拡張. Fail Lowは業績下方修正、Fail highは業績上方修正のよ
菅井五段と習甦の対戦から一週間息つく暇もなく、2014年3月22日両国国技館で、電王戦第2局佐藤紳哉六段とやねうら王の対戦が始まった。様々なゴタゴタがあったこの第二局なのだが、それはまた今度にしよう。今回は将棋の技術的な背景を解説していく。 先手やねうら王の初手▲1六歩で始まった本局だが、迎えてやねうら王が▲7七角としたところだ(図1)。ここで佐藤六段が方針の岐路を迎えている。プロ同士の一局なら△同角成の一手といっても過言ではない。そうでなければ先手に居飛車にされ、一局ながら端の位をとったことを大きく生かされてしまうだろう。しかし佐藤六段は知っていたのだろう、このまま△4二玉とすれば、やねうら王は居飛車にせずに、ノーマル四間飛車にして自分が居飛車穴熊にできることを。 第1図 やねうら王が▲7七角とあがった所 そして作戦は成功して、やねうら王はノーマル四間飛車に佐藤六段は居飛車穴熊に囲うこと
今日は『将棋世界』の取材があるのだが、将棋のこと考えていたら寝れないので将棋について日頃思っていることをぶちまけてみる。 もう何度目にしたかわからないのだが、小説やドラマでよく「捨て駒のように俺を粗末に扱いやがって」みたいな表現が出てくるのだが、これが将棋指しから見ると極めておかしい、誤った表現である。将棋について理解のない人にとって「捨て駒」とはそういう認識なのだろうが…。今回はこのことについて詳しく説明する。 まず、将棋は捕獲した駒を手駒に出来る。これはチェスとは違った特徴である。チェスは手駒という概念がないので、取った駒はただ盤上から消えていく。将棋は違う。手駒になる。銀は4枚しかなく、初期盤面では先後2枚ずつ割り振られているが、相手から1枚取るとこちらは盤上に2枚、手駒で1枚と併せて3枚になる。相手は盤上に1枚だけであるから、3対1の戦力になる。 銀の価値が300点だとしたら、相手
ドワンゴの川上会長と私との対談記事が公開された。当日、緊張のあまり、うまくしゃべれていなかった私であるが、4Gamerの神編集によって素晴らしい対談記事へと昇華しており、twitterでの言及数はこの対談シリーズのなかで現時点ですでに過去最多を記録している。是非、ご覧いただきたい。 電王戦,なんで勝てたんですか?――「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第15回は,「BM98」を開発した伝説的なプログラマー・やねうらお氏がゲスト http://www.4gamer.net/games/001/G000183/20131222001/ 関連) ドワンゴの川上会長に聞くべきだった『経営はなぜクソゲーなのか?』 http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/20131126#p1 記事が公開されてから3日間は4Gamer.netの注目記事ランキング1位だったようだ。また、ニコニ
電王戦,なんで勝てたんですか?――「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」第15回は,「BM98」を開発した伝説的なプログラマー・やねうらお氏がゲスト 副編集長:TAITAI カメラマン:佐々木秀二 123→ 連載第15回めとなる,ドワンゴ・川上量生氏との対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」。今回は,1990年代後半にネット上で一大ブームとなった「BM98」の開発者として知られ,最近では,ドワンゴが主催するコンピューター将棋大会「将棋電王トーナメント」(以下,電王トーナメント)でめざましい活躍を見せる,プログラマーのやねうらお氏がゲストです。 5歳からプログラミングを始め,学生時代はゲームの解析を趣味としていたというやねうらお氏ですが,そんな氏が「BM98」の開発に至った経緯,あるいは電王トーナメントへの参加を決めたいきさつなど,さまざまなことについて語ってもらいました。また,
昨日、ドワンゴの川上会長と2時間ほど対談をさせていただく機会があった。 4Gamer.netの『ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!』という企画である。 対談自体はいろいろ裏話が出て、のちにWikipediaにそのまま転記されると思われるような内容も多数あった。 例えば、初期のニコニコ動画においては運営はアニメなどの動画投稿(明らかな著作権違反)に対してもほとんど取り締まりをやっていなかったわけであるが、これは、BM98に倣い、作者は仕組みを提供するが、曲の提供者がどんな曲をアップするのか(例えそれが著作権違反であろうと)には感知しない、というスタンスを参考にされたとのことだった。 そ、、そうなのか!誰かWikipediaに転記しといてくれ! 「ニコニコ動画は、ワシ(やねうらお)が育てた」って今日から言って回るわー。 ※ 飲み屋でおっさんが「イチローはワシが育てた」と言ってる程度の意味で。
電話がかかってきて、電話に集中し、電話が終わり、ふと画面を見たらDropboxが(同期した日付として)「たった今」とか表示している。この「今」という文字なのだが、ちょっとよそ見していると、ベロ(舌)を出してやがる気がする。 こんなことを言うと頭がおかしいと思われかねないことは重々承知だが、あっちむいて、ふと見たときにこいつは絶対ベロを出していると思う。 きっと私が見てないときには、「だるまさんがころんだ」遊びみたいな感じで、ベロをずっと出してやがる。 でも私が見た瞬間、ベロを引っ込める。でもそのベロを引っ込める動作がいつもわずかに見える。絶対、私が電話してるとき、こいつはずっとベロを出してやがった。間違いない。 これだけ言っても、何のことだかわからない人もいると思うので、さっき、そのベロを出している決定的瞬間を捉えようと思った。こいつは、そのまま私が見てないふりをしていると油断してそのまま
前回、同人音楽の演奏難度が上がっている件について書いたが、その流れはボカロ方面にも波及しそうなのでちょっと流れを追ってみたい。 前回記事) 最近、同人音楽の演奏難度が上がっている件 http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/20130901#p1 私は以前、「ミクさんは本当にエコシステムを形成するのか?」*1という記事のなかで、市販されているボカロ楽譜(ピアノ譜)は「ヤマハミュージックメディア」「デプロMP」から出版されているものしか選択肢がないと書いたが、その翌月、シンコーミュージックから『ピアノ・ソロ ボカロのヒット・ソングあつめてみた』という楽譜を発売するとアナウンスがあり、8月28日に発売となった。 ちなみに、私の同記事で「(まらしぃさんの月刊ピアノでの連載は)同じ号に掲載されている譜面自体は別の人が採譜したものなのが残念なところ。まらしぃさんらが採譜(アレンジ
実際に関係者から聞いた話なのだが、いま、底辺のソーシャルゲーム会社は大変なことになっているらしい。底辺じゃない会社もそれなりに大変なものかも知れないが、底辺の会社はそれどころの騒ぎではないようだ。 まず、プログラマーの力量に合っていない。 「ソーシャルゲーム(の開発を)舐めんな」みたいな話は大手の開発会社のプログラマーからよく聞くが、人数がある日突然何万ユーザーも増える。このへんの流入する人数の調整が利かない。 もともと何十万人規模の接続をさばくには、MMORPGなどのオンラインゲームよりもシビアであり(普通、MMORPGでもワールドがわかれていて、1つのサーバーの常時接続人数は数千人規模に収まるので)、大人数になったときにうまくスケールアウトするように設計するためには、ゲームシステム自体がそのへんを考慮してうまく練られていないといけない。 ところが、底辺ゲーム会社だと、社長がそのへんの理
コナミのグラディウス(1985年)は、私が学生のころ、ハマりにハマったゲームの一つで、非常に思い出深いものであるが、SNS全盛の時代に突入したせいか、過去のゲームについてツイートなどで関係者の証言を得やすくなってきたせいで、当時は気付かなかったことがわかるようになってきた。ゲーム史上、意味のある内容も多数あり、私の胸のうちにしまっておくにはもったいないので、ここに書き散らす。 ■ 1つ目 ザブは2秒前の自機を狙わない? 「ザブは出現後、2秒前の自機(のあった位置)に向かって移動する」というのは、当時ゲーメストでグラディウスの攻略記事を書いていためぞん一刻氏(スコアネーム)こと高見明成氏の記事にある。グラディウスの1000万点プレイヤーの間でも長らく信じられていたし、1000万点プレイヤーの一人である私も当然そう信じていた。 関連記事) 僕はグラディウスで頭がさらにおかしくなった http:
CodeIQで挑戦者数が400人超えという異例の事態になったCrossingとはどんな問題だったのか。twitterでも恐ろしい勢いで拡散され、最終日に100人を超えるチャレンジがあった、この問題。一体どこにそんな魅力があったのかについて考えてみる。 まず、このように注目されるためには満たすべき条件が二つある。 繁盛する飲食店を考えてもわかるように、まず美味しくなければならない。CodeIQで言うと、問題として良問でなければならない。解答後の達成感がなくてはならない。 次に、飲食店なら、その店に入ってみようという気にさせなければならない。入りにくそうなお店でも、料理さえ美味しければその後口コミで広がることもあるだろうが、それだと繁盛するまでに時間がかかりすぎる。だからCodeIQで言うと、まず問題を解いてみようという気にさせなければならない。 このどちらが欠けても駄目である。この問題はこの
格闘ゲームで発祥した言葉に「舐めプ」というのがある。舐めたプレイ、相手のことを小馬鹿にしたプレイのことを言う。格闘ゲームでわざと小パンチでとどめを刺したり、全力を出さずにプレイして勝てるというアピールをして、相手に精神的ダメージを負わせることをその目的とする。(ゲーセンでやると喧嘩になりかねない) しかし、その実態はそれほど単純ではない。実力差が大きくある場合は別だが、実力が拮抗している場合は舐めプにも非常に神経を使う。 また、舐めプ自体に合理性がある場合もある。例えばMMORPGのギルド戦でMP(マジックポイント)消費量の少ない弱魔法でとどめを指すのは舐めプであると同時に、こちらのリソース消費量を最小化するという意味で戦略の一部として捉えられる。 格闘ゲームでも、相手が自分より格下だと思えば、序盤でわざと普段使っていない技を使ってみるというのがある。(そして、全力を出さないと勝てないぐら
DTMという言葉の誕生よりずっと以前から、パソコンに楽曲を(楽譜を見ながら)打ち込み、それを再生して楽しむというムーブメントはあった。 Y8950(MSX-AUDIO)やYM3812/FM1312(Sound Blaster)に代表されるようなFM音源チップが搭載されたパソコンが普及する(1985年前後)よりさらに昔、PSG(Programmable Sound Generator)音源チップAY-3-8910が搭載されたパソコン(PC-6001/X1/FM-7など)が発売されたころ(1981年前後)から、その流れはあった。 当時、自分で楽器を演奏できない者が、楽譜をBASIC言語のMML(Music Macro Language)命令で入力し、再生させていたわけだ。それはとても画期的なことであった。 ただ、流行りのポップスなどを打ち込んでもつまらないので、どうせならゲームの音楽を再生した
ニコニコ動画で初音ミクを用いた作品を追いかけていたが、そろそろ追いかけきれない感じがしてきた。あまりにも量が多すぎてついていくのが大変だ。キャラクターの声とグラフィックを利用した二次創作の嵐に戸惑いながらも、沢山の人の沢山の作品を楽しむ日々が続いている。 初音ミクを使った作品が氾濫しているのは何故だろうか。このwhyに対してまず思いつく回答は、初音ミクというキャラクターの「立ち具合」やニコニコ動画という「場」についてのものだろう*1。然るべきキャラ立ちと、然るべき場があってはじめて、初音ミクの二次創作はここまで流通した----それは確かだ。しかしこういう現象というのは、本当に初めての現象なのだろうか?ふとここまで考えて、初音ミクの大氾濫と関連づけられるような音楽二次創作の爆発は無かったかと頭を捻っているうちに、ひとつ思いついた。なんだ前にもあるじゃないか。キャラクターが牽引する形で、音楽の
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