私が小学生のころ、通学路に浮浪者のおじさんが居た。 おじさんは、無銭飲食おじさんと呼ばれており、ぼくらが給食で食べ残したコッペパンなどを差し出すと、毎回、面白い話をしてくれるのだった。 「お前たちに無銭飲食の仕方を教えてやる。まず、飲食店に入るんだ。チェーン店じゃないほうがいい。チェーン店は、無銭飲食のマニュアルがしっかりしていて、問答無用で警察に突き出されるからな。個人食堂が一番いい。」 「また、昼食時の店が混雑している時間帯を狙え。無銭飲食だからと言ってがっつくんじゃない。食うのは2,000円分までにしとけ。そうして食い終わったら、土下座して『お金は持っていません。皿洗いでも何でもします。』って言うんだ。誠心誠意な。そうしたら、どうなるか。」 「お前が店のオーナーだったらどうする?無銭飲食するような、どこの馬の骨ともわからない奴を店で使いたくないだろ?俺が皿洗いなんかしたらバイキンだら