井筒 節 東京大学大学院総合文化研究科・教養学部 附属教養教育高度化機構 特任准教授 MDGsからSDGsへ SDGsを理解するためには、その成り立ちを知ることが有用です。その上で重要なのが、前身であるミレニアム開発目標(MDGs)です。MDGsは、冷戦が終結し、国際協調の時代が到来する期待感のなか、90年代に国連が開催した「子どものための世界サミット」、「世界人権会議」などの様々な国際会議の行動計画をまとめる形で、2000年に国連が採択した国際目標です。 MDGsでは、8つの目標が設定されました。限られたお金と人材が分散してしまうと、なにひとつ解決できなくなってしまいます。そこで、世界中のリソースを「極度の貧困と飢餓の撲滅」等、8つの分野に集中することで、着実に結果を出そうと考えたのです。この結果、沢山の人が貧困から抜け出し、教育や保健、子どもや女性の権利や環境課題においても、様々な改善