宮崎駿監督による平成最後の長編作品『風立ちぬ』は120億円を超える大ヒットを記録しましたが、はっきり言って“万人向け”とはほど遠い内容です。「よくわからない」「モヤモヤする」「主人公に感情移入できない」などと“理解できなかった”ことを主体とした感想を抱いたという方は決して少なくはなく、宮崎駿監督作品の中では『ハウルの動く城』に並んで賛否両論を呼んでいました。 しかし、その“理解できない”という感想は全く間違っていません。そう感じることも当然の内容であり、もっと言えば“大衆には理解されない”ことさえも本作の意義と言っても過言ではないと、筆者は考えます。それこそ、主題歌の「ひこうき雲」の歌詞にある、「他の人にはわからない」という言葉通りの……。 本作で宮崎駿が目指したかったことは、公式サイトに掲載されている“企画書”にも表れています(以下に一部抜粋)。 「この映画は戦争を糾弾しようというもので