「選挙期間中にファクトチェックをすると、選挙に影響を与える可能性があることをどうお考えでしょうか。従来、メディアは、公正な選挙の妨げにならないよう、選挙中に候補者に不利な影響を与えるような報道は自重してきたのですが…」 昨年8月、日本記者クラブの記者向け研修会でファクトチェックをテーマに講演したところ、あるテレビ局の記者からこのような趣旨の質問が出た。 伝統的に日本の大手メディアは、選挙期間中になると「モード」が変わる。たとえば、氏名や写真の露出が特定の候補者に偏らないよう、編集や表記の面で細心の注意を払う。そこまではよいとしても、陣営から不公平な扱いだと抗議されることを恐れ、特定の政党・候補者に対する批判、あるいは不都合な事実や疑惑の報道も極力控えることになる。それは投開票が終わって”平時”に戻ってからやればいい、という考え方が支配的だ。 冒頭のような質問は当然出るだろうと思っていた。そ