早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問 野口 悠紀雄 6月の貿易収支は、617億円という黒字になりました。 しかしこのことをもって、日本の貿易収支の黒字が定着かしたと言うふうに考えることは出来ないと思います。 第1は、6月というのは、電力に対する需要が比較的少ない月なんですね。 このために発電用の燃料の輸入が比較的少ないということがあります。 第2の理由は、原油価格が低下しているということです。 原油の価格は、1バーレル当たり、今年の3月には100ドル程度でしたが、それが6月には80ドルくらいまで下がってきています。 このために、原油の輸入額が比較的少なくすんだということ、去年に比べて3%くらいの低いレベルにとどまったということがあります。 仮に6月の原油価格が3月と同じくらいの水準であったとしますと、原油の輸入額が2千億円くらい増えていた可能性が強いんですね。 そうしま