◯ 将来を憂いてウンウン呻きながら、貸してもらったマンガ本を貪るように読み散らかして孤独感を拭い去ろうともがいているうちに、2016年6月第3週の日曜日、今年の父の日が終わっていた。 実家に電話したり、プレゼントを贈ったり、食事に誘ったり、それらしいことを何もしなかった。 したことがないのだった。今まで一度も。 ◯ 私には父親がいないのだけれど、もう今の世の中そんなに珍しいことでもないらしい。 厳密に言えば戸籍上にはいるんだけど、私が胎児だった頃に両親は離婚して、この世に生を享けたとき既に父親の姿は視界になかった。 だからどこで父親という概念を覚えたのか、ちょっと不思議だ。絵本だったかもしれないし、ジブリのビデオだったかもしれない。教育テレビのおうただったかもしれないし、あるいは街中で見かける親子だったかもしれない。でもどこで覚えたにしろ、その存在に違和感を抱いたことはなかった。 父親とい
![お父さんの思い出 - おんなが泣くとき](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/368b87dcb666aff4f10c79e1bf5c4087c25cf62a/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2Fa%2Fameni1952%2F20160621%2F20160621204051.gif)