一方、こうして私たちが海外の色彩感覚に違和感を覚えるのと同じように、多くの外国人が首を傾げる「日本の色彩感覚」も少なからず存在する。 中でも外国人を悩ますのが、「青」と「緑」の関係性だ。 筆者が日本語教師をしていた頃、“毎朝すること”をテーマにした授業で、 「(ホームステイ先の)お母さんは毎朝ジュースを作ります。“青汁”といいます、でも“緑汁”です」と、困惑した様子で発表した学生がいた。 諸説あるが、これは、色彩表現が「白・赤・青・黒」の4色しかなかった平安時代、「青」を指す範囲が、現在の「緑」や「紫」、「灰色」と、多色に渡っていたことに由来する。 そのため、先の「青汁」のほか、緑色のモノは今でも「青信号」や「青りんご」と表現されることが多いのだが、「先生、“青々とした緑”は何色ですか」と、授業後に集団で質問にやって来る学生に対峙する度、例を挙げて説明しながらも、正直「2対1でもうこれは青