それが、あまり記憶に残ってないんですよね。早く自分たちの作品を出したい、音楽で食べて行きたいっていう気持ちはあったんですけど、具体的なヴィジョンとかはあまりなかった。今もないんだけど(笑)。とにかく、好きなように好きな作品を作りたいっていうことぐらいしかなかったかな。まあなかなかそうも行かないんですけど。『47'45"』を作る前くらいから、キャッチーでアッパーなものを求められるようになってきて。要はチャートの上位にランクインするようなヒット曲が欲しいということなんですけど。でも、キリンジって、もともとそんなアッパーな曲なんてあんまりない。自分の音楽趣味やキリンジそのものは、わりとマニアックな感じがあるじゃないですか。プロデューサーだった冨田(恵一)さんも含めて。なんとなく作っている側のムードは、そういうマニアックな方向に行ってるんだけど、周りからはもっとわかりやすいものを要求されるわけで。