2013年10月から続けてきました連載もとうとう最終回になります。長らくご愛読下さったみなさまには本当に感謝もうしあげます。最終回に入る前に、ここまでのお話をまとめておきましょう。 連載の前半、第8回までの内容は、昨年11月にPHP研究所さんから、新書『ケインズの逆襲、ハイエクの慧眼』として出版していただきました。そこでは、1970年代までの国家主導体制がその後行き詰まって、新しいシステムに転換しなければならなかった原因は何かを探りました。 この転換を私は「転換X」と呼びましたが、これまで、この転換は、民営化、規制緩和などの新自由主義的な「小さな政府」への転換であると理解されてきました。それに対して私は、「転換X」の本質は、「リスク・決定・責任」がなるべく一致するシステムへの転換なのだと論じました。 つまり、(1)リスクをともなう決定は、それにかかわる情報が最もあり、決定が間違った時の被害