SN比という言葉がある。 オーディオに凝った事がある人や音楽のレコーディングにたずさわった事のある人ならご存知かと思うが、これはサウンドに対する雑音の比率を表す。 SN比が高いほどそれは高音質である事を意味する。 SN比を高める、つまり音質を良くするには、サウンドの音量を上げるか雑音を削るかという二つの方法があるわけだ。 料理に関してはもちろんこのSN比という言葉がそのまま使われることはないのだが、あえて料理にこの概念を当てはめてみるといろいろ面白い、というのが今回のテーマである。 最初にものすごくざっくりとした言い方をすれば、料理というのはいかにして元々の食材に手を加えてそのSN比を向上させるか、であると言ってもいいと思う。 特に高級なもてなし料理においてはそれが重要になる。 例えば牛ヒレ肉なんてものは元々のSN比が高いからわざわざ料理によってNを削る必要性もさほど無いわけだが、これがレ