「企業の密約が世界を変えた」と言えば、ありがちな陰謀説だと思われるかもしれない。しかし、本書はそんな陰謀説を掲げてスキャンダルを暴露しようとする本ではない。むしろ、それとは正反対だ。この本は、今わたしたちをとりまくこの世界が、偶然の産物ではなく、ある意図のもとになるべくして今の形になったことを、歴史的な事実と綿密な取材に基づいてひも解いていく。本書を読めば、ばらばらに見えた点と点がつながり、今目の前にある世界が違う角度で見えてくる。 著者のジャックス・ペレッティは、名門ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスを卒業して調査報道の道に進み、ガーディアンやワイアードといった一流紙誌に予言的な記事を掲載してきた、今最も旬なジャーナリストのひとりである。ドキュメンタリー制作者としての実力も折り紙つきで、本書をもとにしたドキュメンタリー番組もBBCで放送され、大きな反響を呼んでいる。 そんな旬の著者が