東日本大震災の復興の足取りの重さには、現地の宿泊施設不足があるのではないか。「作業員の環境改善と、地域の復興のベース、さらには観光産業の人材育成の場として、官民が組んで地元に『宿』を作ろう」。そんな活動に乗り出したのが社団法人「ソーシャル・サイエンス・ラボ」の川井徳子氏だ。 復興の視点から見て、東日本大震災が阪神・淡路大震災に比べて非常に不利な点がある。 阪神・淡路大震災の場合は大阪や姫路といった、巨大な人口集積地が神戸を取り囲んでいた。だから復興の現場で働く人達は通勤する事ができた。しかし今回の被災地は違う。 宮城の石巻・気仙沼、岩手の陸前高田・大槌・釜石といった湾岸部へ人口集積地の盛岡や花巻などの内陸部から通うには、片道2時間、雪の多い時期なら3時間はかかる。つまり、通勤による復興要員を確保することが困難な地域なのだ。 復興庁が発足した当日の新聞記事に、「地元で復興工事に十分な人手が確