宮崎哲弥・藤井誠二『少年をいかに罰するか』講談社:講談社+α文庫、2007年 過去の少年法をめぐる議論は、法務省や検察、弁護士、矯正施設など制度として少年犯罪に関わる立場の人間が、年齢引き下げなどで少年犯罪が減るかどうかという社会効果の観点からしか議論をしてこなかった。当時の新聞の投書も、その「効果」について自分はあると思う、ないと思うという二者択一的なものばかりです。社会的に「効果が期待できない論」が支持されたのだと思います。 今回も少年法改正に反対した人々――弁護士や学者などの専門家――の論理はほとんど当時と変わっていなくて、厳罰化は効果があるとか、ないとかをずっと言ってきた。ところが、犯罪被害者やその遺族の人々が訴えてきたのはそういうことではなく、、せめて自分たちにも加害者側と同等の権利や情報がほしい、適正で公平な手続きをしてほしいということなのです。少年法の不公平さや不適正さを問題