たまに、「大学では、社会に出てから役に立つことなんて何も教えてくれない」という、ものすごく的はずれなことを言う人がいる。 こういうことを言う人は、大学の役割を勘違いしている。大学は、そもそも学問をするところであって、就職活動の準備をする施設ではない。会社に入ってから役に立つことを教える義務は大学にはない。「大学では、社会に出てから役に立つことを教えてもらえない」というのは、「蕎麦屋では、ラーメンを注文しても出てこない」と言っているのと同じで、当たり前すぎて批判になっていない。 どうして、このような勘違いをしてしまうのだろうか。それは、学生が大学を学問をする場所ではなく、就職までの準備学校として利用してしまっているという悲しい現実があるからだ。 この傾向に迎合してしまっている大学も多い。私立大学の説明会や募集要項では、殊更就職率や就職先のことが強調され、肝心の学問部分は大学生活のおまけ程度に