自閉スペクトラム症の研究を進める金沢大(金沢市)や北海道大(札幌市)などのグループは、愛情や信頼の気持ちを生み出すといわれる脳内ホルモン「オキシトシン」の新しい化合物を作り、天然のオキシトシンよりもその効果が持続することをマウスの実験で確認した。この発見を生かすため、今月中にも北海道に研究開発型のベンチャー企業を設立することが決定。金沢大も連携し、自閉スペクトラム症の治療薬開発に弾みを付ける。(酒井ゆり) 北海道大は昨年六月、オキシトシンに炭素を加えた新しい化合物を作製。そこで金沢大は、不安などの感情を左右するとされる遺伝子「CD157」を欠損させたマウスに、天然のオキシトシンと新しい化合物を与え、ほかのマウスに関心を示す行動量を比較した。すると、新化合物は天然のものより行動量が30%以上上回ることが確認できた。