「水曜日、少年は男になる」 新宿駅から紀伊国屋本店の方向に地下道を歩いてゆくと、中央の円柱に、小学館が『少年サンデー』の広告を大きく出していた。青、緑、白が基調色のあざやかな広告。その惹句(じゃっく)がこれであった。毎週水曜日が、都内における同誌の発売日である。少年読者は、その水曜日に発売されたばかりの『少年サンデー』を読んで、大人の男性になる一段階を上がると言いたいのだろう。少年は少年マンガによって成長する。 少年マンガは、少年を大人の男性にするものか? 『少年サンデー』は、講談社の『少年マガジン』と並んで、1959年に創刊された。私が両誌を読み始めたのは、1961年、24歳のときである。以来、青年期、壮年期を通して、私はかわらず、両誌の愛読者でありつづけた。そのような経歴の人間として、冒頭の惹句には、「そうだろうな」という思いと、「それはちがうぜ」という思いを持つ。 第1。長い間、少年