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2008年7月23日のブックマーク (2件)

  • 『印旛沼、まぼろしの乙女』(1)- ぼんやり上手

    一、沼の目覚めたあとで 印旛沼はいまや自由に姿かたちを変える生き物だった。まるまるひと月降り続けた長い雨のあと、ところどころにくびれふくらんだ沼の形は鼻先の長い飢えた野犬のようだ。 田沼意次公が着手し、長い歴史をかけて完成した干拓工事によって、沼は長らくおだやかな眠りについていたはずだった。けれどもあの忌まわしい関東地獄によって大地が裂け、堤防が決壊し、沼はぐずぐすと音を立てて来の老獪さを取り戻した。猛々しい能に目覚め、そこに暮らす人間たちに忍び寄り不意打ちを喰らわせては楽しんだ。 印旛沼が暴れだすと、サイレンがうなりをあげる。住民は着の身着のまま、貴重品を詰めたリュックサックをかついで公民館や小学校の体育館に避難し、ロウソクや懐中電灯の灯りのもと、そこで幾晩も夜を明かすことになる。 これは季節ごとの恒例行事のようになっていた。運が良ければ床上浸水、悪ければ家が淀んだ沼の底に沈んだ。も

    『印旛沼、まぼろしの乙女』(1)- ぼんやり上手
    yoghurt
    yoghurt 2008/07/23
    書き出しの『いまや―』が最高にキまってる!
  • ワイルドライフの楽園で過ごす、エレファントな日々 - デイライトバウンド

    野生動物や鳥類とふれ合うことのできる大自然の楽園、世界遺産のチトワン国立公園へ。 5月26日 ルンビニ→チトワン 同宿だった四人が、ルンビニからチトワンまで共に向かうことになった。若い日人カップルと、背の高いイギリスの女の子と俺だ。朝っぱらからツーリストバスに乗り込む。 信号で車が停まると、待ってましたとばかりに物売りや物乞いが車内にどやどや乗り込んでくる。子供が「べ物ちょうだい」と近づいてきて、足をぽんぽん叩いたり裾を引っ張ったりするわけ。 俺はイギリスの子と一緒に座ってたんだけど、そのときの彼女の追い払い方が面白くて、ビスケットをかざしながら「Biscuit, if you go」と言い聞かせる。"Biscuit"という名詞がそのまま”you can get...”の結果を含意していて、そんな言い回しもあるんだなあと感心していた俺は、そのときなんの役にも立っていなかったのであった…

    yoghurt
    yoghurt 2008/07/23
    惨めな気分になった、と書かれたことさえも楽しそうに見える。