【変わる保革の意味】 渡辺 京二さん 2014年12月01日(最終更新 2014年12月01日 12時14分) 渡辺京二(わたなべ・きょうじ)さん=評論家、日本近代史家写真を見る ◆一新して新たな展望を 親日家で有名だったロナルド・ドーアさんが、近頃日本が嫌いになったという。日本が好きだ嫌いだはどうでもいい。ある対象について好悪が共存するのは人性の常だ。かのハーンがそうで、日本が好きでもあり嫌いでもあった。ドーアさんが近頃の日本がいやになったのは、右傾化したからだという。これは聞き捨てならない。日本が右傾化しつつあるというのは、いわゆる戦後民主主義万歳、平和憲法万歳の徒の常套句(じょうとうく)だと私は思っていたから、ドーアさんの口からこの言葉がとび出すのは意外だった。 だがドーアさんの言い分を聞くと、彼がいやだというのは、日本がレーガン、サッチャー張りの効率至上主義社会、格差容認の競争