「おいさ! おいさ!」 威勢のいい掛け声とともに、1.6メートルの木彫りの男根が旅館に入ってきた。女将さんや地元客の後押しを受け、宿泊していた女の子は恥ずかしそうに笑って男根(をかたどったご神体)にまたがる。はっぴ姿の男10人が彼女ごとお神輿を持ち上げると、先ほどの掛け声とともに激しく前後に揺さぶりはじめた。 絵面とか状況とかいろいろおかしい。巨大なアレに女の子が股でしがみつきながら、かがんではのけぞっては髪を乱し、黄色い声を上げる。とはいえ表情は絶叫マシーンを楽しむように笑顔だ。勇ましい「おいさ!」と周囲の笑いで、旅館の玄関は活気に満ちあふれる。 こんなカオスでハッピーなお神輿ロデオを町の各地で繰り広げる奇祭が、長野県松本市美ヶ原温泉の「道祖神祭り」だ。50年近い歴史を持つお祭りで、主催は美ヶ原温泉旅館協同組合。毎年9月の第4土曜日に開催しており、今年は去る9月28日に行われた。 美ヶ原