映画の人気ジャンルのひとつに“バディムービー”がある。生まれ育った環境、身分、世代が異なる2人がぶつかり合いながらもお互いの価値観を認め合い、唯一無二のバディ(相棒)へと成長していく鉄板スタイルだ。ジャッキー・チェン&クリス・タッカー主演作『ラッシュアワー』(98)など多民族国家である米国のアクションエンターテイメント作品に多く見られる。主人公2人の性格や嗜好性が大きく違えば違うほど、そのギャップがドラマを面白く転がしていく。フランスで記録的大ヒットとなった『最強のふたり』も“介護”というシリアスになりがちな題材を扱いながら、典型的なバディムービーとして観る者を楽しませる。男たちの本音満載コメディであり、スカイアクションあり、格差社会の現実を描いた社会派ドラマでもある。様々な価値観が混在する映画的な豊かさに溢れた作品だ。 舞台は現代のパリ。スラム街出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)は、