トランプ大統領の誕生など、いわゆる「ポピュリズム」が注目を浴びています。この「ポピュリズム」の定義というのはなかなか難しいもので、政治学者の間でもその捉え方には違いがある状況ですが、多くの分析において「ポピュリズム」の隆盛の原因として広がる格差の問題があげられています。 ただ、格差の拡大によって剥奪感を感じた人々が現状の政治に不満を持つという回路は分かりやすいのですが、そうした人びとがトランプのような人物を支持するという点には謎が残ります。 格差の拡大によって貧しくなった人びとが、サンダースや急進的な再分配を訴える左翼的なポピュリズム政党を支持するというのはわかりやすいですが、「雇用」を連呼しているとはいえ、規制緩和と富裕層への減税を主張するトランプを支持することにはわかりにくさが残るのです。 つまり、「新自由主義」は市場における競争を重視する考えで「弱肉強食」的な世界をつくりだすと考えら