芥川賞を受賞されたデビュー作、『おらおらひとりでいぐも』以来6年ぶりとなる、著者2作目の最新刊。 『かっかどるどるどぅ』とは、ドイツ語で鶏の雄叫びの声だそうだ。 6話からなる連作短編集で、登場人物5人の身の上話が、それぞれ心の声で語られていく。 物語の要となるのは、古いアパートの一室を開放し、見ず知らずの人々に食事をふるまう、片倉吉野。 登場人物たちは、ひょんなことから吉野の家を知り、皆そこに引き寄せられ、温かい繋がりができ、生きる希望を見出していく…。 物理的にも精神的にも、ギリギリの所に追い込まれている登場人物ばかりで、真に迫るその心情がダイレクトに響いてきた。 一人一人の心の叫びは、今現在あらゆる理由で困窮に直面している人々の叫びでもあり、読んでいてこの作品を通し、こういった問題を投げかけ、著者の願いも込められているのが伝わってきた。 「今どき、お腹を空かした人間は思った以上にいっぱ