川又邦雄 1963年 慶應義塾大学経済学部卒業。72年 ミネソタ州立大学Ph.D.取得。79年 慶應義塾大学経済学部教授,現在に至る。82年 プリンストン大学客員研究員。現在,Econometric society,理論・計量経済学会会員。主著 『市場機構と経済厚生』創文社,(1991)。 馬場弓子 1989年 慶應義塾大学経済学部卒業。97年 スタンフォード大学経済学部Ph.D取得。 (1) はじめに 書画や骨董品の競売(セリ)から道路工事や海底油田の発掘権の入札など,オークションは,個々の参加者の付け値を考慮することによって財の配分を公正かつ効率的に行うために様々な場面で異なった形態で行われる。とりわけ供給者と需要者の間に情報の非対称性が存在したり独占的弊害が生じる心配がある場合には,それは市場メカニズムに代わる機構として有用である。最近では各国の民営化と市場解放の動きの中でその重要性