遙から 「通じない」。タレントを職業とする私の口をもってしても、相手に通じない。その相手がたまたま男性であることが多いことから、「男には通じない」と相対化してしまっていいものか、あるいは、私が女であることから「女と男は通じ合えない」と普遍化してしまっていいものか、結論づけるのは早計として、いずれにせよ、女である私がたまたま男性である仕事相手に何かを要求した時、「通じない」ことは多いとしばしば感じる昨今だ。 以前、このコラムでも紹介したが、女性司会者が私を会場に呼び入れる時に、わざわざその女性司会者が準備し、歩数まで逆算して決めた登場音が、本番で流れなかったことがあった。その理由はホテルの音響ブースに“人がいなかった”という、想定外のミス。女性司会者が「だからこのホテルは二流なのよっ」と担当男性にブチ切れたエピソードを書いた。 無音で登場した私の心のどこかにそれがトラウマのようなかすり傷にな