深刻な事態を示す書名なのに、なぜか合わせ技一本のような爽快さを感じる。タイトル前段のあらわす貧困については昨年来、ワーキングプアや派遣労働の実態を暴く本が書店の棚で目立つようになった。貧困は隠された場所から、目に見える問題として浮上してきた。 後段のがんについてどうかといえば、医療書はもとより、余命いくばくかの花嫁の話からケータイ小説まで、がんの登場する書籍はこれまた多い。 また、貧と病がタッグを組んだ例は、貧乏が当たり前のように存在した近代黎明期の自然主義文学において珍しくはない。 だが本書は小説ではない。著者の妻の乳がんが2007年3月に発覚、以降の経過を実体験に基づき綴ったものだ。 こうした本が出てきた背景には、貧困は偶発的なものではなく、社会制度によって作り出されるという構図が露わになったことも考えられる。今後は貧と病とは別個のものではなく、相補的な関係として社会問題になることを予
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