山口県下関市の私立早鞆（はやとも）高校１年、冨田由実さん（１６）が先月、車にはねられた犬を見つけた。犬には首輪があり、右の前脚を骨折していた。市の動物愛護管理センターに引き取られたが、飼い主が現れなければ殺処分になる運命。「何とか助けたい」。冨田さんは友人の手も借りてメールやチラシを配り、飼い主を捜した。飼い主が見つかったのは、殺処分のわずか５時間前だった。 この犬は市内の女性が飼う雑種の「アイ」（３歳、雌）。２月２７日夕、下関市幡生町の知人の家に遊びに行った冨田さんが、路上でけがをして鳴いているアイを見つけた。ひき逃げされたとみられる。動物愛護管理センターが犬を引き取りに来たが「飼い主や里親が現れなければ、約２週間後には殺処分される」と耳にした。 あまりに無情な「宣告」。数日間、気の重い日が続いた。「なぜ人間は、ひき逃げなんてできるん。ひかれた犬をさらに殺すなんてできるん」。級友に思いを

長野市の信大大学院工学系研究科２年の田中孝典さん（２４）が、お年寄りを中心として日ごろの雑用を有料で引き受けるサービス業「お手伝い屋。」を始めた。日常生活には困らないお年寄りらの生活を支える取り組みだ。事業は後輩にも引き継ぎ、学生と地域との交流にもつなげようと張り切っている。 「お手伝い屋。」は田中さんが個人事業主として立ち上げ、同学部にあるイノベーション研究・支援センターに事務所を開設。工学部３年〜大学院２年の５人をスタッフに迎えた。 田中さんが起業を思い付いたのは、アルバイトで働いた同市内の便利屋では草むしりや買い物といった仕事は簡単すぎるとして断るケースが多かったためだ。こうしたニーズに応えられないかと考えたという。信大の起業家育成集中セミナーでノウハウを学び、スタッフの１人で大学院２年の中瀬古浩己さん（２３）にも相談しながら８月に起業した。 電話で受け付ける仕事は、家具の解体

２４年ぶりにカーネル・サンダース人形に眼鏡をかける（左から）平松邦夫市長、牧野百男市長、渡辺正夫・日本ケンタッキー・フライド・チキン社長＝大阪市の市中央公会堂で２００９年９月１９日、向畑泰司撮影 大阪・ミナミの道頓堀川で今年３月に２４年ぶりに見つかったカーネル・サンダース人形の黒縁眼鏡が１９日、「復活」した。川に投げ込まれた当時と同じ福井県鯖江市製の眼鏡が市から贈呈された。おなじみの眼鏡をかけたカーネル人形は、２３日まで大阪市北区中之島１の市中央公会堂で一般公開。一緒に記念撮影することができる。 日本ケンタッキー・フライド・チキン（本社、東京）によると、カーネル人形の眼鏡はメーカーが作ったものを人形の頭部にはめ込んでいる。８５年の阪神優勝時、ファンらによって道頓堀川に投げ込まれ、その後、阪神の不振が続いたことから「カーネルの呪い」と言われた。今年３月に河川工事中に発見されたが、眼鏡はなくな

開会式で行進する奈留の選手たち＝２５日午前、兵庫県明石市の明石公園野球場、諫山卓弥撮影 　長崎県五島列島・奈留（なる）島にある県立奈留高校は、全国高校軟式野球選手権大会への出場は初めて。長崎勢としても２５年ぶりだ。人口約３千人、高齢化率は４割近い島で唯一の高校。島から駆けつけた約１００人の応援を受け、開会式では元気よく入場行進した。 　奈留島は長崎港から約９０キロ、高速船を乗り継いで約２時間かかる。奈留高の全校生徒数は７５人で、このうち軟式野球部員は女子マネジャー２人を含め２０人を占める。部費は年間２万円と限られている。応援のための募金には多くの島民が協力。島唯一の特別養護老人ホームでは、入所のお年寄りや職員ら計約１００人がカンパをした。石田清一郎さん（８３）は「島の子の頑張りが誇らしい」と喜ぶ。 　県内には軟式野球部が３校しかなく、硬式野球部と対戦することも。奈留が守備の時は軟球を、相手