ホームレス支援を掲げるカナダの「てんとう虫財団」総裁、ハンナ・テイラーさん(11)は5歳の時、ごみ箱から食べ物を拾う人を見て衝撃を受けた。ベビーフードの空き瓶をてんとう虫の水玉柄に塗って募金箱をつくり、寄付を呼びかけた。6歳で財団を設立、07年には「カナダでもっともパワフルな女性100人」に最年少で選ばれた。 日本では、テイラーさんのような人材は皆無に近い。才能のある子はいても、それを育てる環境が十分ではないためだ。 早熟な才能ゆえに、普通の子の集団から浮いてしまう子どもたちを広島大理学部の泉俊輔教授は「浮きこぼれ」と呼ぶ。数学好きの中高生を全国から選んで開いた夏合宿で、数学や科学の話題で朝まで盛り上がる少女たちがいた。「早く寝たら?」と声をかけても寝ない。「学校では『賢いね』と一目置かれてはいるが、浮くのが怖くて『数学が好き』と言い出せない。教室では自分を抑え、孤独や疎外感を感じている」
消費やレジャーには無欲で、ライフスタイルは等身大かつ自然体……。そんな若者が増えている。バブル景気を全く知らず、物心ついてからはずっと平成不況。ブランド物や車、海外旅行への関心も高くない。彼らは同時に「ゆとり教育世代」でもあるのだが、そういった新しい層は「おゆとり様」と呼ばれ、その消費傾向に注目が集まっているのだ。 新学習指導要領によって、ゆとり教育が小・中学校に導入されたのが2002年度。その頃に中学生生活を送っていた層が次々に成人しているが、彼らは独自の行動様式を持っている。 ●異性よりも同性の友人を大切にする ●休日は自宅でパソコン・テレビ・DVD・ゲーム・音楽・読書などで過ごす ●一人遊びもけっこう好き ●貯蓄を重視する このように、いわゆる「巣ごもり」と呼ばれるウチ志向が強いことが特徴的だが、最近の草食系男子にも通じる淡白さも感じられる。 さらに興味深いのは、おゆと
車椅子生活を送る奈良県下市町(しもいちちょう)の谷口明花(めいか)さん(12)が町立下市中学校への入学を認められず、約3カ月の訴訟を経て7月にようやく希望がかなった。一定の身体・知的障害がある児童生徒は特別支援学校に入学するという原則がある。また財政難で直ちにバリアフリー工事に取りかかれない自治体が多い。しかし、取材を通して感じたのは「一緒に学ぶことの大切さ」だった。谷口さんが同級生から刺激を受けて成長してきただけでなく、周りの同級生にバリアフリーの心が自然にはぐくまれている。大人が知恵を絞って、このような学びの場を子どもに提供すべきではないだろうか。 谷口さんは脳性まひのため、生まれつき両腕と両脚が不自由だ。幼いころから訓練を重ね、左手で文字を書いたり、車椅子を自力で動かすことができるようになり、地元の小学校に通っていた。しかし町教委は今年3月、「成長期で体重が増えるため、階段が多い下市
卓球選手・石川佳純のお母さん 久美さん:3 練習を休むのは許さなかった2009年8月18日 2000年9月、姫路で開かれた全日本選手権バンビの部に初出場 2000年2月、佳純さん(16)の7歳の誕生日を機に、久美さん(46)は鬼コーチに変身した。なにしろ自分の練習を犠牲にして佳純さんのために時間を使っているのだ。いい加減な気持ちでやられては、割に合わない。 練習のため、毎日、山口県防府市のスポーツセンターに通った。車で片道1時間弱。学校から帰る佳純さんを持ち構え、連れて行く。もちろん、どんなに卓球が好きな佳純さんでも、練習をしたくないときはある。疲れて車中で寝てしまったり、ぐずったりするときも。 それでも、「絶対、練習を休むことは許しませんでした。マンツーマンでしたから、逃げることも隠れることもできません」。 練習を休むどころか、一球を見送ることさえ許さなかった。どんなショットを打たれても
アイヌ政策が大きく動き出す。政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」(座長、佐藤幸治=こうじ=京都大名誉教授)が7月末、新たな立法措置の必要性や学校教育の充実などを求めた報告書をまとめたからだ。アイヌを日本の先住民族と認め、総合的な政策展開を求めており、新時代の到来を告げるものと評価したい。しかし、近世以降、文化や言葉を奪われてきたアイヌに対し、あまりにも遅すぎる結論である。ある大学で始まる、民族の違いを尊重し合う取り組みを紹介し、共生社会の一日も早い実現を求めたい。 私立札幌大(札幌市豊平区、宮腰昭男学長)は来春、アイヌの新入生を積極的に受け入れる全国初の「ウレシパ奨学生制度」を始める。年間授業料(77万円)と入学金(20万円)相当額の奨学金を給付する。5学部のうち、当面は文化学部で6人を受け入れる。 「ウレシパ」とは、アイヌ語で「育て合う」の意味。この制度はアイヌ子弟を優遇する
卓球選手・石川佳純のお母さん 久美さん:1 猛練習で「負けん気」刷り込む2009年8月4日 09年5月、横浜であった世界選手権では、日本人女子最高位のベスト8に JR山口線に乗り、山口市の矢原駅で降りる。田んぼがつづく道を歩いていくと、やがて佳純(かすみ)さん(16)の「卓球のおうち」が見えてきた。近所の家より一段と頑丈に見えるのは、1階を柱のない40畳の卓球場にするため、強化鉄骨を使って補強しているからだ。 出迎えてくれた母親の久美さん(45)は、スポーツシャツに半ズボンのトレパン姿。すぐさま卓球を始めそうな勢いである。無理もない。「山口ジュニアクラブ」を率いる現役の監督なのだ。 なぜ、「日本の卓球の星」と呼ばれる佳純さんが山口の地に育ったか。ひとえに、久美さんの生まれ持った「負けん気」のおかげである。 * 福岡県でOL生活を送り、実業団の卓球チームで活躍していた久美さんは92年、長女の
手作り絵本集まれ!きずなの大切さ発信 福島・矢祭町2009年8月2日 寄贈本45万冊で作った「矢祭もったいない図書館」で知られる福島県矢祭町教委などは8月1日から、「手作り絵本コンクール」を開き、全国から作品を募る。最優秀作品はラオス語やタイ語など東南アジアの数カ国語に翻訳し、現地の小学校などに寄贈。現地での出版化も検討する。 テーマは「自然・友情・心の大切さと夢と希望がいっぱいの絵本」。高校生以上の「一般の部」と、中学生以下の子どもが家族と一緒に作る「家族の部」を設けた。 同町は今年度、小学生が図書館の仕事を学ぶ「子ども司書」認定制度を始めるなど、読書のまちづくりを進める。高信由美子教育長は「図書館ができたのも寄贈者の善意のきずながあったから。今度は私たちが、きずなの大切さを発信したい。そのためのコンクールに育てていきたい」と話している。 最終選考では、ノンフィクション作家の柳田邦男さん
私は学校が嫌いなんです。特に、今の学校は、教師が手を汚さないで、生徒を管理し支配しようとして、それが学校の仕組みになってしまったからです。未熟であっても、人間は人間とぶつかりながら育つものです。学校にはもっと自由と、対等な人間の関係が必要かと思います。 私が大阪市の中心部にある西船場小に入学したのは1947年4月。戦後教育1期生でした。運動場のガラス片やガレキ拾いが日課で、焼け落ちた校舎は格好の遊び場でした。 小学校時代は、授業内容がよく変わりました。最初は、自分たちの街の再現模型を教室の真ん中に作り、街について学ぶなかで、算数や国語などの教科にも広げていく、アメリカ生まれのコアカリキュラムという授業でした。戦前の教育が否定された後、新しい教育をつくろうと戦後の数年間のみ導入されたようです。小3の自由研究では、農業をテーマに選び、授業時間に堺の農事試験場まで電車に乗って一人で行きました。道
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