日頃,システム構築の開発現場において「トランザクション」という言葉をたびたび耳にします。Part1では,トランザクションの初歩の初歩から分散トランザクション技術までを解説していきましょう。 企業における業務処理の多くは,「確実に遂行されること」が求められます。例えば,「本日の取引は10件で,たぶんすべて成功したと思います」という報告ではなく,「本日は10件の取引を行い,すべて成功裏に完了しました」という報告が必要なわけです。 業務はITを活用することにより効率的に進められますので,ITの世界ではそれぞれの取引が確実に「成功する」ことを保証する仕組みが必要になります。この取引のことを「トランザクション」と言います。具体的には,データベースにアクセスする処理を処理1,処理2,処理3のようにつなげて呼び出す「一連の処理」(処理の固まり)です(図1)。 トランザクションは,次の4つの特性をすべて保