私が生まれ育ったのは、日本の片隅の、そのまた片田舎である。 そして、故郷を出た現在もまた左程変わらない世界の片隅で暮らしている。 実は私は、新聞記者になりたかった。 少年時代、それが夢だった。 その次には、物書きになりたかった。 少年時代から、漫画と同じくらい本を読み漁っていた。買いに行かなくても、父の書斎にいくらでもあったからだ。 しかし、無論そんなに甘いものではなく、思い描いた憧れは儚くも夢物語として散った。 新聞社に原稿を送ったこともあったが、フィクションの物語を想像して構成する能力に欠けていた。ある程度自信があった文章力や語彙力も、あくまでも一般的なレベルの領域を出るものではなかった。 そんないきさつを、若い頃に知人に話した時に「ブログという手段もある」と言われた。 当時は心に余裕がなく、開設には至らなかった。 しかし、その時に聞いた言葉がモヤモヤとして心の中に残っていたのである。