ユニリーバのようなコングロマリット(複合企業)のCEO(最高経営責任者)なら、普通、毎日いかにP&Gより多く石鹸やシャンプーを売るか考えているはず。だがパトリック・セスコー氏に21世紀最大の戦略上の課題は何かと聞くと、話題は水不足に苦しむアフリカの村や地球温暖化に飛んでいく。 世界はユニリーバの研究所だ。同社はブラジルの貧困街で無料ランドリーを運営し、人口1万人当たり医師が20人しかいないバングラデシュでは、医療を無償提供する水上病院に資金を拠出。環境活動家に対応し、自社工場で年間どれだけの二酸化炭素、有害物質を排出しているか公表している。 サステナビリティー=利益 セスコー氏曰く、これらの国が貧困や水不足、温暖化と戦うのを助けることは競争力を守るうえで欠かせない。今ユニリーバの売上高の約40%、成長の大半が新興国から来る。同社の食品事業は世界のホウレン草生産の3割を占める。世界中で環境規