2018年7月28日のブックマーク (3件)

  • 最初で最後の弟子(創作掌編) - かきがら掌編帖

    晶太が通い始めた書道教室は、墨汁と筆ペンを使わない方針のせいか、あまり流行っていなかった。 学童クラスはさっぱりだが、成人クラスの継続的な「生徒さん」たちのおかげで成り立っているのだ、と師匠は言っている。 祝儀袋や不祝儀袋に書く名前くらいは上手に筆書きしたい、という動機で入門し、丁寧に磨った墨で名前の字を練習していくうち、書道に心の安らぎを見出した人たちだ。教室へ来る前は、なかなか思いどおりに書くことができない自分の名前を好きになれなかったという人もいた。 師匠の短めに生やした髭は、黒と白の混ざりぐあいが、いぶし銀のような色に見える。晶太はひそかに「銀ひげさん」と呼んでいた。 書道の師範は師匠の業ではあるけれど、仮の姿でもあった。 銀ひげ師匠の正体は魔法使い。晶太は書道ではなく、魔法の方の弟子なのだ。 幼いころから晶太は、人が嘘をつくとすぐに気づいた。だまそう、ごまかそうとする嘘から、悪

    最初で最後の弟子(創作掌編) - かきがら掌編帖
    yoshitakaoka
    yoshitakaoka 2018/07/28
    日常に隠れてはいるが、確実に存在する「不思議」。それを使うものは「不思議」と「日常」のバランスの上で生きている。ハヤさんしかり、今回のお話しかり、それを語り聞かせてくれるのが、toikimiさんの世界なのだ。
  • 7.27 Today's message - 秘色 hisoku

    * プリズム * この見透す世界を信じて なににも 誰にもゆだねることなく 空の裏側に見えたもの 心臓の場所で聴こえたこえ 分岐されたひかりは なないろの橋をわたり 向こう側の岸辺に蒔いた 諦めなかった夢へ届く 煌く羽携えた君へ 喜びは右に捧げ 哀しみは左に祈り 想いはそのままに 真ん中のひかりへすすめ

    7.27 Today's message - 秘色 hisoku
    yoshitakaoka
    yoshitakaoka 2018/07/28
    メッセージ、受け取りました。
  • 真夏の怪談 - ナマケモノの飛行訓練

    夏といえばこのひとではないでしょうか。え?誰だって?誰でしょう。 ここのところの暴力的な猛暑はおさまったようですが、おそらくまだまだ暑い夏が続きますので、引き続き怪談をすこし。 ええ、また怪談ですよ。ごめんくださいな。さいきん凝ってるもので。 マイナス100度の太陽みたいに身体を湿らす怪談になればとおもいます。 四六時中も怖いといわれたいです。 怖いのが苦手なかたは読まないで下さい。 【閲覧注意】 ____________ 帰れない 田舎町のさらに山奥に入った場所に廃村があった。いわゆる消滅集落だった。 昼間はただの廃屋の集まりだが、夜になればそれ相応の不気味さがあり、若者達の間で心霊スポットとして噂されるようになるのも、ごく自然な流れだった。 その夜も、車で訪れた男女二組のカップルが廃村へと入り込んでいった。 四人は村のはずれで車を降り、とりあえず中心を目指して歩こうという話になった。一

    真夏の怪談 - ナマケモノの飛行訓練
    yoshitakaoka
    yoshitakaoka 2018/07/28
    表情を思い浮かべるのです。何かが確実におかしい、と感じた時の人間の表情を。あの、何とも言えない表情を。ブランコに腰掛けようとしていた男も、首筋に鳥肌が立った瞬間の女も、あの顔をしていたのですね。