僕は何故、強くなりたいと思っていたのだろうか。 それは強い人に憧れていたというよりも、むしろ弱い自分が嫌いだったからだ。 小さい頃から、僕は華奢で非力でケンカも弱かった。 その上、気も強くなく、自分からも色んなことからも逃げていた。 そんな自分だから、到底自分のことを好きになることはできず、いつも弱い自分を否定してきた。 あの時僕に力があればな、そうゆう思いが積み重なったその先に、もう変わりたい、強くなりたいという気持ちがどんどん芽生えていったんだと思う。 だからそのために、実に単純ではあるけど、僕は力という実質的かつ実際的な強さを希求するようになった。 強くなり、そして僕自身を肯定したかったのだ。 キックボクシングを始めたのも強くなるための手段であった。 ジムに入ろうと決めたのは26歳の時。 入門するまでに、生来のビビリのためゆうに半年かもしくはそれ以上の時間が経過していたが、今ここで強