本連載では、際限のない価格勝負から脱して価値で勝負するための方法論として、顧客が買う理由を考え抜く「ニーズの断捨離」について書いてきた。 一方で多くの業界では、業界全体で先が見えない価格勝負を繰り返し疲弊しているのが現実だ。しかし、業界をあげての価格勝負は永遠には続かない。その先には何があるだろうか。実は、価格競争が行き着く先には、価値競争への転換がある。 そのことは、1950~60年代の米国コーヒー業界からも学ぶことができる。30年代後半にレギュラーコーヒーの真空パック技術が確立され、コーヒーの大量生産・大量流通が可能になり、コーヒーは大量に家庭や職場で消費されるようになった。当初、コーヒー市場は成長していったが、そのうち市場の成長が止まり、焙煎業者間で限られた市場のパイをめぐってシェア争いをするようになり、価格競争が激化していった。当時の様子は、59年の全米コーヒー協会年次総会における