厚生年金をさかのぼって脱退させる不正な「遡及(そきゅう)脱退」を隠すため、各地の社会保険事務所が無資格者となった被保険者の診療報酬を政府管掌健康保険から肩代わりした上、不正が発覚しないように該当する診療報酬明細書(レセプト)を抜き取っていたことが、職員らの証言で分かった。年金保険制度のみならず、医療保険制度もゆがめてきた実態が明らかになった。 【関連特集】「年金がわかる」 分かりづらい年金制度を徹底解説 中小企業が厚生年金を脱退した場合、被保険者の社員は政府管掌健康保険もぬけることになる。脱退時にさかのぼって国民健康保険に加入しなければ、この期間は無資格受診となる。 総務省年金記録確認第三者委員会が社保事務所の処理で不適正と断定した66件(8日現在)のうち、17件は標準報酬月額(給与水準)の引き下げ、50件(1件は重複)は遡及脱退だった。50人は1カ月〜2年さかのぼって脱退させられ、