今日から使える 医療統計学講座 【Lesson3】 サンプルサイズとパワー計算 新谷歩(米国ヴァンダービルト大学准教授・医療統計学) (2933号よりつづく) 臨床研究を行う際,あるいは論文等を読む際,統計学の知識を持つことは必須です。 本連載では,統計学が敬遠される一因となっている数式をなるべく使わない形で,論文などに多用される統計,医学研究者が陥りがちなポイントとそれに対する考え方について紹介し,臨床研究分野のリテラシーの向上をめざします。 研究計画の策定時に,データをどれくらいの数の被験者から集めてくればよいのか頭を悩ませたり,実験マウスを1群10匹にするのか,5匹にするのかで迷ったりしたことはないでしょうか? 以前本紙に寄稿した際(第2912号)に触れたように,サンプル数が多ければ多いほど解析の精度が上がり,それに伴いP値は小さくなります。極端に言えば,臨床的に意味のないどんなに小