以前に『畠山直哉「Blast」と物質の神、眼差し』というエントリで写真家・畠山直哉氏について書きましたが、氏は陸前高田市の出身。その畠山直哉氏が、東日本大震災発生直後に、母と二人の姉の安否を確かめるべく、故郷に向かってひた走る記録です。 正確に言えば、これは記録というようなものではありません。「自分の記憶を助けるために写真を撮るという習慣がない」という畠山氏は、記録というファンタジーに耽溺することがありません。ここで抉出されているのは、もっとずっと恐ろしいものです。 加えて、これは写真集です。構成としては、写真と写真の合間に文章が挿入されるような形になっています。 パッと開くと、ページの下半分に写真があり、上半分は空白です。下半分の写真の部分が、文章になっているページもあります。 最初に見た時、「どうしてページの半分しか使っていないのだろう? 上半分がもったいないよ」と素朴な印象を抱きまし
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