完成した『アリーテ姫』の上映をいかにして確保してゆくかというプロデューサー・サイドの営業の戦いの中で、試写を見てもらった小屋主さんから、 「あの主人公がまるで笑わないことについて、もっと真剣に考え直すべきだ」 というようなことをいわれた局面もあってしまったらしい。 実際には、制作の中期頃までは片方で『ちびまる子ちゃん』をやりつつ並行して作っていたわけでもあり、そのひとつ前の時期には『ちびまる子ちゃん』『あずきちゃん』を並べて仕事していたのであり、「観客をいかにくすぐって笑いを得るか」という仕事上のテーマはちゃんと掲げていたのだった。 けれど、くすっと思わず笑ってしまうというわずかなゆとりすら忍び込む余地も見いだせない鬱の谷間も存在してしまうわけで、『アリーテ姫』の上での表現は、そうした谷間に落ち込んでしまった人に、より切実によりそおうとした結果なのであった。そうした傾向が一般に向けた普遍的