NHK報道局報道番組センター社会番組局「クローズアップ現代」の多田篤司ディレクターに懇願されて会ったが、失礼だと思った。 31日に放映があると聞くが、まったく、その成果が期待できない。 基本的に取材の態度がなっていない。 ほんとうにひどいインタビューで、あきれかえって帰ってもらった。 あまりにも非礼で、演劇に対する尊敬を欠き、ただ、ご自分の視点でのみ、材料を集めているとしか思えなかった。 彼の態度は私が『演出術』でインタビューしたときの一章、「スランプ時代」をクローズアップしたいとしか思えなかった。それは、全体のなかで、本当に一部分にすぎない。けれど、質問は、そればかりに集中した。 「スランプ時代」が蜷川さんにあるとしても、短い期間だろう。十年にも満たない。その時代の舞台を観ていない人に、あれこれいわれるようなものではない。ディレクターは、才能のある人が、いかに「才能を認められず苦しんでい