Maniju、その不穏なまでに美しき世界 片寄明人(GREAT3、Chocolat & Akito) 長年のファンなら冒頭の「白夜飛行」を聴いただけで感じるはずだ。そしてその予感はタイトル・チューンである終曲に辿り着いたとき、確信に変わるだろう。佐野元春&ザ・コヨーテ・バンドによる新作「Maniju」は、彼らの最高傑作であり、自らを更新し続け、また新たな地平に立った佐野元春を象徴する作品だ。 ザ・コヨーテ・バンドが極上のライブ・バンドとしての実力を遺憾なく発揮し、まるでその演奏を目の前で聴いているかのような臨場感あるサウンドで封じ込めた前作「Blood Moon」に対し、より緻密に構築されたスタジオ・サウンドで仕上げられたこの新作。 「不穏な何かを抱きしめたまま、キラキラと美しく輝いている」、この「Maniju」が内包する魅力的なトーンを、僕はそんな矛盾した言葉でしか表現できない。 アルバ