不平等との闘い ルソーからピケティまで ((文春新書)) 作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/05/20メディア: 新書この商品を含むブログ (25件) を見る 本書の概要 ピケティ『21世紀の資本』には、経済学における「不平等」をめぐる歴史の中で、いかなる意味で新しさ、ないしオリジナリティがあるのか──この本では、資本主義的市場経済における不平等に関する理論の歴史が俯瞰され、それを経ることで(特に、著者のいう「不平等ルネサンス」との違いが明らかになる中で)、読者はそれを知ることができるようになる。 話は、ルソー『人間不平等起源論』とスミス『国富論』における見解の違いをみることから始まる。ルソーによれば、私的所有権制度の確立と分業の発展が、社会の不平等化の基本的な原因である。スミスはその点に大きな異議を持たないが、それ以上に、それらが生産力ひいては生活水準の上