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私の故郷に伝わっていた「禁后」というものにまつわる話です。 どう読むのかは最後までわかりませんでしたが、私たちの間では「パンドラ」と呼ばれていました。 私が生まれ育った町は静かでのどかな田舎町でした。 目立った遊び場などもない寂れた町だったのですが、一つだけとても目を引くものがありました。 町の外れ、たんぼが延々と続く道にぽつんと建っている一軒の空き家です。 長らく誰も住んでいなかったようでかなりボロく、古くさい田舎町の中でも一際古さを感じさせるような家でした。 それだけなら単なる古い空き家…で終わりなのですが、目を引く理由がありました。 一つは両親など町の大人達の過剰な反応。 その空き家の話をしようとするだけで厳しく叱られ、時にはひっぱたかれてまで怒られることもあったぐらいです。 どの家の子供も同じで、私もそうでした。 もう一つは、その空き家にはなぜか玄関が無かったということ。 窓やガラ
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