1998年、日本長期信用銀行が破綻し、国有化銀行の第1号になった。「民営長銀」最後の2カ月半、頭取を務めた鈴木氏は、粉飾決算・違法配当の民事裁判で8年半にわたり被告席に座る。2007年7月の勝訴確定とほぼ同時期に「最後の責務」として執筆を開始した本書をこのほど刊行した。 ――破綻に至る経緯が、むしろ淡々と書かれているという印象ですね。 感情を抑えようと意識したわけではないが、もともと事実を書き連ねるということが狙い。ただ、長銀にいた人から「無念さが残った」「読みながらそのときに思いをめぐらすと、途中でページをめくる手が止まった」といった感想もいただいている。 ――破綻後に関連書籍がかなりの数、出版されました。この本は何が違うのでしょうか。 この間に「長銀本」がたくさんでたが、当事者でない人、生の体験をしていない人、ジャーナリスト、そういう人たちの実態とかけ離れたものが多い。それがそのま