函館ラ・サール高校の英語講師ピーター・ハウレットさんから「The Ainu and the Bear」と題する絵本が送られてきた。これは私たちのグループ「十勝場所と環境ラボラトリー」が2005年2月15日に出版した「イオマンテ めぐるいのちの贈り物」(文・寮美千子、画・小林敏也、パロル舎刊)の英語版である。 イオマンテとはアイヌの「熊の霊送りの儀式」のことで、ちょうど今頃の季節に、熊が冬眠している穴を見つけて猟を行う。冬眠中に生まれた子熊がいたら、母熊だけを殺して子熊はコタン(村)に連れ帰る。母熊の肉、毛皮などは余すところなく活用する。熊は天からの贈り物だから、すべて大切に頂くのだ。 連れ帰った子熊は、人間の赤ちゃんと同じ様に母乳を与えたりして家の中で大切に育て、大きくなったら丸太の檻(おり)に移すが、上等の食事を与え続ける。1〜2年育てた後に、熊の霊を天に帰す盛大な儀式を行って殺し、また
高度な近世アイヌ農耕 遺跡から畝や鉄製農具 2008年01月22日10時28分 ヒグマ狩りやサケ漁などのイメージから、「狩猟・漁労の民」と見られることが多いアイヌの人々。そんな彼らが、近世以前にかなり高いレベルで農耕を営んでいたことが最近の研究で明らかになってきた。江戸時代の文献などに「畝(うね)も作らず、放置したままの粗雑な農業」と記された姿は、実は現地を支配していた松前藩などによって抑圧された結果である可能性が高いという。 研究をまとめたのは、北海道開拓記念館の山田悟郎・学芸部長。 サケや昆布を採り、それらを交易することで、米や漆器、刀、鉄鍋などを手に入れる――。私たちが考えているような、いわゆる「アイヌ文化」は、13世紀末(鎌倉時代後期)に生まれたと考えられている。 母体となったのは、ほぼ同じ地域に広がっていた「擦文(さつもん)文化」(7〜13世紀)だ。表面にハケ目のある土器を使うの
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